2025/03/24 18:00
こんにちは。夫婦で営むうつわのお店 “TOKI” です。 商品ページだけでなく、ブログまで足を運んでいただきありがとうございます。
このブログでは、取り扱う焼き物や窯元様の紹介、当店の活動報告などを発信していきます。

今回は記念すべき第一回として、最初に取り扱う「丹波立杭焼」についてご紹介します。
まず最初に、TOKIとご縁のあった窯元様のご紹介からさせていただきます。
◎窯元紹介
立杭のやきものの里には、多くの窯元が点在しています。当店では、展示場「陶の里」に並ぶ作品をじっくりと吟味し、セレクトした窯元様とお取引させていただくこととなりました。
ここでは、特にご縁のあった窯元様をご紹介します。
【昇陽窯】

親子三代にわたって営まれる、歴史ある窯元。作品の美しい造形が目を引き、特に鎬象嵌(しのぎぞうがん)の技法を活かした作品が特徴的です。
また、路面店の二階にあるギャラリーで展示やイベントを開催するなど、積極的な活動も魅力のひとつ。主に三代目の商品を取り揃えております。
日常使いに適したテーブルウェアから、芸術性の高い作品まで幅広く展開されています。
【信凜窯】

古民家を改装した趣ある店舗が印象的な窯元。
店頭には、繊細な色彩が美しい作品が並び、遠目からでも目を引きます。
特に、鮮やかな釉薬の表現は、店主の探求心と緻密な計算によって生み出されたもの。
試行錯誤を重ねた釉薬の独自調合や、焼成方法の工夫が詰まった器たちを、ぜひ手に取ってみてください。
【英一窯】

温かみのある空間に、多彩な作品が並ぶ人気窯元。
特に、シャビーシックな白と黒の平皿がSNSで話題を集め、入手困難なほどの人気を誇ります。
その魅力は、一度手にすると他の人にも紹介したくなるような存在感。
シンプルながらも洗練されたデザインが、食卓を引き立てます。
【夢工房】

現当主で九代目を迎える、歴史ある窯元。かつては酒の陶器瓶を中心に、大量生産を手掛けていましたが、現在は店主の磯松さんが一点一点、手作業で制作。
個性的なデザインが特徴で、使い勝手にもこだわった作品が多く揃います。
シンプルながらも遊び心のあるフォルムは、長く愛用できる逸品ばかりです。
◎そもそも丹波立杭焼とは…
丹波立杭焼(たんばたちくいやき)は、瀬戸・常滑・信楽・備前・越前焼とともに日本六古窯のひとつに数えられる由緒正しい伝統技法で、その起源は平安時代までさかのぼるとされます。
そんな丹波立杭焼の特徴といえば「登り窯」。
現在でもいくつもの窯元が建ち並ぶやきものの里を訪れると、各窯元の作業場の横や焼き物の展示場である陶の里などで実際に目にすることができます。
この登り窯は斜面に沿わせた細長い形状が特徴で、登り窯以前に使用されていた穴窯に比べて一度により多くの焼き物を焼成できるメリットがあります。
また、丹波立杭焼では多くの技法が息づいています。
派手な装飾こそ少ないものの素朴で味のある丹波立杭焼ならではの伝統技法をいくつか紹介します。
葉文(ようもん):葉を器に押し付けて模様を焼き付ける技法。
鎬(しのぎ):半乾きの器の表面にカンナで削りを入れ、帯状の模様を施す。
流し釉(ながしゆう):下地の釉薬の上から灰釉を垂らし、自然な流れをデザインにする。
これらの技法のほかにも、さまざまな伝統的な装飾が今もなお受け継がれ、多くの作品に取り入れられています。
○丹波焼? 立杭焼??
ネットなどで丹波立杭焼のことを調べていると“丹波立杭焼” “丹波焼” “立杭焼”といった呼称が入り混じっています。
どれが正しいのだろう、と思い調べてみたところどれも正しいそうです。
・国の無形文化財、伝統工芸品としての登録は“丹波立杭焼”
・日本遺産としての登録は“丹波焼”
・昔からの呼び方は“立杭焼”
と分けられることもあるそうです。(参考:丹波篠山市公式観光サイト)
このあたりからも歴史の深さを感じますね。
◎丹波立杭焼の今
丹波立杭焼では現在、後継者不足などの課題を抱えつつも、窯元同士が協力し合い、新たな取り組みを展開しています。陶の里内にある展示場「窯元横丁」や、オンライン販売を統括する「丹波のイロドリ」などがその一例です。また、各窯元もSNSやイベントを活用し、伝統を守りつつ、時代に合った発信を続けています。
さらに、2025年の大阪・関西万博では、兵庫県の「ひょうごフィールドパビリオン」に丹波立杭焼が選出されるなど、今後もさらなる発展が期待されています。
立杭のやきものの里には、他にも多くの窯元が点在しており、また今もなお多くの登り窯が残っています。
その風景もまた魅力のひとつです。
実際に訪れて、器だけでなく窯そのものの存在感も感じてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。